言論の自由と公務員の権利考える集い
裁判勝利し、憲法守る力に
言論弾圧事件闘う 3人が決意表明
「戦争をする国」づくりが強まるなかで、「憲法を守ろう」との政党機関紙を休日に配布した国家公務員の堀越明男さんや宇治橋眞一さんが、37年ぶりに国家公務員法を使って弾圧されました。このような情勢のもとで、言論の自由、公務員の政治活動の自由を勝ちとろうと、11月27日、全労連、国公労連、全教、自治労連、自由法曹団、国民救援会が共催し、「言論の自由と公務員の権利を考える集い」を都内で開き、約300人が参加しました。
はじめに、東京慈恵会医科大学教授の小澤隆一さんが講演を行いました。小澤さんは、自民党の改憲案をとりあげ、「自衛軍が憲法上の存在になれば、自衛隊のための土地収用や戦場での後方支援のために、国家・地方公務員が大々的に動員される。動員命令を拒否した場合は、軍事裁判所で裁かれる。このように恐ろしいものだということを社会的に訴える必要がある」と述べました。そしてこのことを国民の中に訴えるうえで、憲法97条から99条が大事だと強調し、「97条では、基本的人権は人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果だ、と書かれている。この原則が侵害され踏みにじられるときは、裁判闘争でこれをはねのけ、この権利を行使することで権力の横暴をはねのけるのだと、97条は語っている。この憲法を学び、国民と共有できれば、公務員にかけられている弾圧をはねのけることができる。国民とともに憲法擁護の運動を旺盛に進めていただきたい」と話しました。
政治的自由は公務員の権利
シンポジウムでは、国公労連委員長の福田昭生さんが報告を行い、「国家公務員は政治的に中立でなければならないという原則が個人の政治信条にまで広げられ、国家公務員は法的な奴隷状態にある。公務の中立性は本来、政治の介入から行政の中立性を擁護し、高級官僚と政治家の癒着を生まないための制限だが、それが拡大されて基本的人権の侵害になっている」と述べました。
自由法曹団幹事長の田中隆さんは、国民投票法での公務員の運動について、「参議院での付帯決議により、公務員が街頭で改憲問題について訴えることも自由になった。しかし改憲案が発議されてからでは遅い。事前の運動には規制がないので、発議そのものを許さないたたかいを展開することが重要だ」と話しました。
立命館大学法科大学院教授の大久保史郎さんは、「第2次大戦後、平和と雇用の確保、戦争と貧困をなくすことを目的に国連ができ、それが具体化されたのが日本国憲法だ。アメリカを中心としたグローバリズムが福祉国家を解体して、雇用不安、弱者不安が生まれている今の時代に、改めて憲法を擁護することが重要。公務員は国家のために尽くすのではなく、市民的公共性のために尽くす意識を持つべきだ」と話しました。
裁判に勝利し自由を守ろう
最後に、3事件の被告が支援の訴えを行いました。堀越明男さんは、「『勝利するまでたたかえ』というみなさんの激励に感謝しています。日本の民主主義の未来がかかった裁判。逆転無罪を勝ちとるため全力でがんばります」とあいさつ。宇治橋眞一さんは、「国公法・人事院規則は合憲か否かという議論の中で、『国民の信頼』という言葉がよく出てくるが、最近、元防衛事務次官が、業者から数百回もゴルフ接待を受けていたことが明らかになった。私はビラを配っただけ。国民の信頼を得られないのはどちらか」と訴えました。荒川庸生さんは、「ビラ配りは犯罪ではないというみなさんの社会常識が裁判所を動かし、一審無罪を勝ちとることができました。裁判所を今一度、市民常識で包囲して、正しい判決を出させるようお願いします」と訴え、会場から激励の拍手が送られました。
救援新聞 2007年12月15日号 1555号