東京・葛飾ビラ配布弾圧事件 地元集会に640人
マンションのドアポストにビラを配布したことで住居侵入罪に問われ、東京高裁で逆転有罪判決を受け、現在最高裁でたたかっている葛飾ビラ配布弾圧事件で、12月19日、逮捕から丸4年を前に、「最高裁勝利をめざす大集会」が行われました。事件の地元である東京・葛飾区の会場には座席数を超える640人が集まり、最高裁での逆転勝利をめざす決意を固め合う熱気あふれる集会となりました。
「権力側、財界側の情報が大量に流布されている一方、本当に知りたいことは巧妙に隠されている。一枚のビラが権力の醜い実態を暴くこともある」――集会で記念講演を行った小田中聰樹東北大学名誉教授は、まずビラ配布がもつ意義について語りました。つづけて、「貧困と格差の進行、自衛隊の軍事活動の拡大に伴い、国民の分裂・相互監視をすすめる治安政策が展開されている」と指摘。「権力側は、国民相互の情報伝達や啓蒙活動を相当な障害として認識しているからこそ、象がアリを踏みつぶすがごとくビラ配布を弾圧している」と説明しました。さらに小田中教授は、「戦後、言論の自由は憲法によって回復したのではなく、治安維持法をはじめとする弾圧法規が廃止されて、国民がいろんな形で言論をめぐらせた。その上にたって言論・表現の自由が明記された憲法ができた」と強調。「ビラまきの自由を守ることは、歴史の教訓を未来に伝えること。誇りと自信を持ってこの弾圧をはね返そう」と訴えました。
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昨年11月に急逝した中村欧介弁護士に代わり主任弁護人になった後藤寛弁護士が裁判をめぐる情勢について報告。
昨年4月、立川自衛隊官舎ビラ配布事件で最高裁が出した不当決定が、各地の言論活動に悪影響を及ぼし始めていることを明らかにしました。決定の一カ月後に発生した国分寺市議ビラ配布事件では、ビラ配布中の幸野市議が、住民に「立川の判決を知らないのか」と干渉されました。憲法で保障された言論・表現の自由と民主主義を守るため、最高裁で荒川さんの無罪判決を勝ちとることの重要性を強調しました。
加えて国連の規約人権委員会がビラ配布弾圧事件について懸念を示していることを報告。「近く提出する補充書で、国際的に異常な事態であることを知らしめたい」と述べました。
集会には、全労連・寺間誠治組織局長、日本共産党・小池晃参議院議員がかけつけ、一枚のビラが命と暮らしを守る役割を持っていると連帯の挨拶。国公法弾圧2事件の堀越明男さんと宇治橋眞一さんも激励の挨拶をしました。
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荒川庸生さんが決意表明(別掲)し、つづいて守る会の小松香代子事務局長が行動提起を行い、この1年間に3746通の手紙と個人署名5万3743通、団体署名1993通を最高裁に届け、計12回の要請行動を行ったことを報告。最高裁へのハガキ・手紙運動を強めようと訴えました。
小松事務局長は、亡くなった中村弁護士の言葉を用いて決意表明。「言論活動への弾圧から繰り返された戦前の暗黒社会への逆戻りを許さない。自由を愛する多くの市民とともに、更なるたたかいを」と述べました。
最後に「一枚のビラで」を全員で歌い、逆転無罪に向けた決意を固め合いました。
〈要請先〉〒102―8651 千代田区隼町4―2 最高裁第2小法廷・今井功裁判長
持てる力尽くす 荒川さん
みなさん、こんばんは。被告人・荒川庸生、元気にたたかっております。
最高裁は石の要塞のようです。しかし、権力の象徴のような最高裁でも、私たちの市民常識、市民感覚がたくさん押し寄せることによって打ち破ることができると確信しております。みなさんの声を手紙・署名に変えて届けてください。持てる力を尽くし全力でたたかいます。ともにたたかってください。
「ビラは大切」 市民の声
集会で紹介された手紙から
「〝不要なビラ〟は配られて初めてわかる。ストップされれば、国民の知る権利が奪われ、判断力をはぎ取られる」(東京都)
「戦時中、何も知らされずに生死をさまよった。戦後も、マスコミは一部を除き真実を報道してると思えない。荒川さんのビラ配布はありがたい行為だ」(石川県)
「ビラ配りが犯罪とは、戦争への道だ。裁判所は憲法どおりの裁判を。もし有罪となれば、幾千万の命と引きかえに誕生した憲法が死に、63年前の暗黒時代に戻る」(大阪府)
救援新聞 2009年1月15日号