ふくしま復興共同センター 東電・各省庁に要請
東京電力福島第一原発の事故によって放出された放射線による被害を受けた福島県民183人と支援する労組、民主団体の代表が、10月7日、「なくせ原発! 返せ!美しい福島を」をスローガンに、文科省や経産省などの各省庁と東京電力に対する要請行動をおこないました。
行動は、国民救援会福島県本部も参加するふくしま復興共同センターが主催したもので、福島県内各地から183人がバス5台で参加。福島県本部の石川信事務局長と目黒幸子常任委員が参加し、原発被災地の声を届けました。
子供だけでも、被曝防ぎたい
要請団はまず、衆議院議員会館で文部科学省や経済産業省、内閣府などに対して交渉をおこないました。
川俣町の農家の方は、「学校給食の食材を納入していたが、4月からは一品も入れることができていない。食材の検査体制を早急に整備して、食材の安全を確保してほしい」と訴えました。観光の町で知られる喜多方市の男性からは、「すでに風評被害が出ている。〝原発から30キロ圏内〟などという線引きをせず、県内全域で除染を急ぐべきだ」と要望が出されました。
目黒幸子さんは、県内の学校が、放射線の影響から窓を開けることができないため、エアコンの設置が必要なのに自治体によって配備が遅れている実態を報告。それにもかかわらず、福島市議会では、「暑さ寒さに強い子どもを作ることも教育だ」などという答弁が市側からされていることを紹介し、「福島の子どもがなぜそんな理不尽なことを言われるのか。国が責任をもってエアコンの設置をすすめてほしい」と要求しました。
福島市で3人の子育てをしている女性は、「原発事故が発生した当初、高い放射線が放出されていたことを政府は把握していながら、なぜ知らせてくれなかったのか。せめて子どもだけでも避難させることができたはず」と追及。これに対し官僚側は沈黙し、一人として回答できませんでした。
県民の要望に対して官僚側からは「最大限の努力」「順次すすめる」といった一般的な回答しか出てこなかったため、会場からは「国は国民の味方じゃないのか、東電と国民どっちを守るのか」と批判が飛び交いました。
「原発いらぬ」東電本店要請
つづいて都内の東京電力本店前で抗議集会をおこない、「命よりも経済効率優先は許せない」「原発で被害を受けたすべての県民に賠償を」などと訴え、シュプレヒコールをしました。
また、代表50人が東電幹部に対し要請をおこないました。要請に参加した石川信事務局長は、「東電側は『政府の中間指針に基づいて補償をすすめる。指針にないものについては、〝相当因果関係〟があれば賠償の対象にする』と述べました。しかし、農作物が出荷できない、子どもが外で遊べない状況は、原発との因果関係があることは明白のはず。なぜ責任を回避するようなことを言うのか」と憤(いきどお)りました。
救援新聞 2011年10月25日号