救援新聞2015年9月5日号
袴田事件 即時抗告審
高裁、検証実験の意向
非科学的な検察側提案に沿う
静岡地裁で再審決定が出され、検察の異議申し立てにより即時抗告審がおこなわれている袴田事件で、8月13日、東京高裁(大島隆明裁判長)で裁判官、検察官、弁護団による三者協議がおこなわれ、大島裁判長は、再審開始決定の根拠となった弁護団のDNA鑑定の有効性を検証する実験を、検察側の主張に沿う方法で実施する意向を示しました。
検証の対象となっているのは、袴田巖(いわお)さんや被害者の血痕が付着しているとされた衣類について、筑波大学の本田克也教授が、血液由来のDNAを検出するために選択的抽出法を使っておこなったDNA鑑定で、再審決定の有力な根拠となっているものです。
弁護団は、検察側の検証方法は自らの主張を導くための「誘導的実験」で非科学的だと指摘し、裁判所が検証実験をおこなう場合には、科学的で公正な方法でおこなうべきだと主張。裁判所が提示した内容について検討するとして、この日の協議は終了しました。次回は9月3日におこなわれます。