岩城法相の死刑執行に抗議する
岩城光英法務大臣は3月25日、2人の死刑を執行した。国民救援会はこの死刑執行に強く抗議する。
国民救援会は、戦前、拷問や残虐な刑罰の廃止を掲げて運動し、戦後は、不当な死刑判決など有罪判決を宣告された冤罪犠牲者を救出してきた。現在も、無実の死刑囚、袴田事件の袴田巌さんの支援をしている。他方、昨年10月、名張毒ぶどう酒事件の奥西勝さんが冤罪を晴らせぬまま無念の獄死をした。菊池事件・藤本松夫さんのように、支援していた死刑囚が無実を叫びながら死刑執行された苦い経験ももっている。加えて、誤判だけでなく、国民救援会は、松川事件のように弾圧謀略事件で死刑を宣告された恐怖をみずからの体験として運動をすすめてきた。人間のおこなう裁判に絶対に誤りがないという保障はなく、誤判による死刑はその悲惨さとともに、回復不可能な事態を招く、国家の名による犯罪行為である。
世界的には、国際人権章典で死刑廃止の方向が打ち出され、国連総会においても、「死刑の廃止を視野に入れた死刑執行の停止」を求める決議が採択されている。また、自由権規約委員会や拷問禁止委員会は、日本政府に対して、「死刑制度廃止」への検討、及び死刑執行の停止を繰り返し強く勧告している。世界では、事実上死刑を廃止している国を含めると140カ国と大多数が死刑廃止国となっており、OECD(経済協力開発機構)加盟国の中で死刑制度を維持しているのは日本とアメリカだけである。そのアメリカにおいても、100人を超える死刑確定囚が、DNA鑑定などで冤罪が明らかとなり、無罪となっている。
国民救援会は、あらためて死刑執行に強く抗議し、死刑廃止条約(自由権規約第2選択議定書)を批准し、死刑制度を廃止することを要求するとともに、当面、死刑の執行を停止し、政府が死刑廃止にむけて国民的議論を尽くすうえで必要な情報を公開するなどの措置をとるよう求めるものである。
2016年3月30日
日本国民救援会 会長 鈴 木 亜 英