鹿児島・大崎事件
再審めざし現地調査
被害者は事故死
8都県から51人が参加 現場で再現し確認
今年1月、最高裁で再審請求棄却の不当決定を受け、第2次再審請求に向けて準備をすすめている鹿児島・大崎事件の第10回全国現地調査が10月14日、15日、8都県から51人の参加で行われました。
1日目の冒頭、国民救援会鹿児島県本部の会長であり、大崎事件の弁護団長でもある亀田徳一郎弁護士が「今年中に第2次再審請求をし、なんとしても原口さんが元気なうちに無罪判決を」と開会あいさつを行い、原口アヤ子さんからは「最高裁の間違った判断は絶対に許せない。やっていない事をやったとは言えない。(第2次再審請求に向けて)これからもご支援をお願いします」との訴えがありました。
救援新聞 2006年11月5日号(1519号)
●新しい鑑定
つづいて、弁護団による事前学習会が行われ、新たな証拠として、共犯とされた男性たちはなぜウソの「自白」をしたのかについて、精神科医や心理学者など専門家の鑑定書を提出すること、そして被害者の死因は確定判決が認定している絞殺ではなく、酔って自転車ごと側溝に転落し首を損傷した事故死であり、死因を頸椎骨折とする池田鑑定に沿った新鑑定を提出することが報告されました。
●現場で検証
学習会後、参加者は、被害者が酔って自転車ごと転落した側溝へ行き、自転車にマネキン人形を乗せ側溝に転落させ、その衝撃が大きいことを目で見て確認しました。また、犯行現場とされた被害者宅跡地では男性たちの「自白」による「犯行」を再現し、矛盾を指摘しました。
2日目は、被害者が堆肥に埋められていた問題を検証するため、隣町の畜産農家の堆肥置き場へ行き、堆肥の状態や堆肥を処理するフォークやスコップを見ました。そして会場へ戻り、男性たちの「自白」にもとづいて、酔った被害者を土間から小縁に抱え上げる再現実験を行いましたが、体重70キロの男性を高さ70~80センチの小縁まで抱え上げるのは不可能でした。
まとめの集会では、参加者から「男性たちはなぜ控訴しなかったのか」との疑問が出され、原口さんは「私自身も控訴というものを知らなかった。おそらく男性たちも知らなかったのでは。もし知っていても、これ以上やってもだめだとあきらめていたのでは」と述べました。一日でも早く原口さんの再審開始を勝ちとるために、カンパや署名行動・宣伝活動、裁判資料を使った学習会の開催などの行動提起がされ、全員で確認しました。
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〈大崎事件〉1979年10月15日、鹿児島県大崎町で男性が自宅牛小屋の堆肥の中から遺体で発見され、男性の義姉・原口アヤ子さんと男性の兄2人が殺人・死体遺棄容疑で、男性の甥が死体遺棄容疑で逮捕・起訴。原口さん以外の男性3人はウソの「自白」により、一審で懲役刑が確定。原口さんは一貫して無実を主張しましたが、最高裁で懲役10年が確定。満期で出所後に再審を請求、02年に鹿児島地裁で再審開始決定が出されましたが、04年福岡高裁宮崎支部が開始決定を破棄、請求を棄却、最高裁も今年1月30日、原口さんの訴えを退けました。
救援新聞 2006年11月5日号(1519号)