東京・沖田国賠
事実直視し判決を
東京高裁 判決日は8月29日に
電車内で携帯電話の使用を注意しただけで「痴漢」をデッチ上げられて逮捕・勾留され、不起訴となった沖田光男さんが、国と東京都、虚偽の被害申告をした女性を訴えた国賠訴訟の控訴審の最終弁論が5月11日、東京高裁で行われました。
弁護団は最終弁論で、訴えを退けた一審判決の誤りを余すところなく明らかにしました。弁護団は一審判決が「逆恨みによる被害申告は想定できない」という先入観に立って客観的な事実を無視したと指摘。とりわけ沖田さんの股間が女性の言う「被害部位」には到底届かない事実について、当の女性の供述にすら反して、股間を「下腹部」に勝手に置き換えて認定を行ったり、携帯電話の相手の供述から「痴漢被害」などうかがえないのは明白なのに「痴漢行為」を認めるなど、非常識な認定と批判。控訴審では、携帯電話を口元から離し、腰付近に持っていても十分に収音が可能なことを実験で示し、一審判決の認定が間違っていることを明らかにしました。また、弁護団が携帯電話の相手の証人尋問を要求したことに対して、国側はその連絡先すら回答せずに妨害。不起訴記録を廃棄し事実の隠蔽を図ろうとした上に、さらなる不公正な態度を重ねる国を免罪することは許されないと強調しました。そして、一審と同じ過ちを絶対に繰り返すことのないよう強く求める、と結論づけました。
つづいて、沖田さんが陳述に立ち、「逮捕から足掛け9年になりました」と切り出し、「警察・検察を相手に裁判をするのは怖いことだった」、「家族をはじめ、多くの方々に支えられて今日を迎えられたことを感謝したい」と述べました。そして、警察の横暴や検察の密室での取調べ、不起訴記録の廃棄などへの強い憤りを訴え、最後に「私は一審判決で裁判所にも裏切られたと思いました」、「『女がやられたと言ってるんだよ』といって私を逮捕した、あの夜の警察官の声をふたたび聞いた思いでした」、「真実は一つしかないのです。今度こそ事実に目を開いた判断をお願いします」と述べきると、100人の傍聴者で満席の法廷から自然と拍手がわきあがりました。
裁判は結審し、8月29日判決と決まりました。
報告集会では、必ず勝利を勝ちとるために、原告、弁護団、支援者が力をあわせて奮闘することを確認しました。