東京・世田谷国公法弾圧事件
言論封殺にブレーキを
弁護団が最終弁論 宇治橋さんの無罪主張
世田谷国公法弾圧事件の最終弁論が6月24日、東京地裁で行われました。判決は9月19日午後1時30分に指定されました。
最終弁論は、午前10時から昼休みをはさんで午後4時まで行われました。弁護団ははじめに「言論・表現と公務員の政治活動の自由が守られるかどうか、この裁判の帰趨にかかっており、裁判所は権力の言論封殺にブレーキをかける役割がある」と強調し、11人の弁護士と宇治橋眞一さんが意見陳述(1面に掲載)を行いました。
弁護団は、次のように公訴棄却と無罪を強く主張しました。
①宇治橋さんのポスティングは憲法21条に保障された権利であり、政党機関紙の配布は民主主義にとって当然のことである。
②宇治橋さんの職務内容は統計業務であって、「特定の党派に偏した事務処理」を生じる余地がない。
③公務員であっても政治活動の自由は保障されねばならない。
④公務員の政治活動禁止が憲法に違反しないとした最高裁の猿払判決は、憲法判断に誤りがあり、国家公務員法と人事院規則は占領下という異常な時代背景で押しつけられた、憲法違反の法律である。
⑤日本も批准している国際人権規約にも違反しており、最高裁判決は変更されるべきである。
⑥猿払事件が発生した郵政の職場が民営化され、政治活動が自由になっても問題がないことは、政治活動の禁止は根拠がなかったものである。
⑦宇治橋さんの休日のビラ配布は、職場に何らの影響もなく、犯罪ではない。
⑧建物の外の集合ポストにビラ配布した宇治橋さんの行為は「住居侵入」に当たらない。
⑨世田谷署に連行し、国家公務員であることが分かってから逮捕したことを、現地で現行犯逮捕したとデッチ上げたことは違法であり、違法捜査で収集された証拠は排除されねばならない。
最後に、宇治橋さんが陳述に立ち、「私の正当なビラ配布がなぜ『悪質』なのか。また国家公務員法でも政党に加入することは自由と認めており、24時間の政治的中立性は求められていない。裁判所は事実に基づき、ごまかしのない、憲法に則った判決をしてほしい」と力強く述べ、満席の傍聴席から大きな拍手が起こりました。
公判後の報告集会では、弁護団の最終弁論は350ページの力作であり、あらゆる角度から宇治橋さんの無罪と違法捜査を明らかにしたと紹介され、弁護団の奮闘に感謝し、判決に向けて、署名・要請ハガキを集中しようと確認しました。
救援新聞 2008年7月15日号