栃木・足利事件第3回再審公判
当時の科警研所長が証人尋問
DNA型再鑑定の結果、菅家利和さんの無実が明らかになり、昨年6月に再審開始が決まった栃木・足利事件の第3回再審公判が12月24日、宇都宮地裁でおこなわれました。
この日は、誤ったDNA型鑑定をおこなった警察庁科学警察研究所の福島弘文所長が証人として出廷しました。福島所長は足利事件からそれ以後の法医学の分野で重要なポストを占めている人物であり、足利事件で間違ったDNA型鑑定がおこなわれていることを熟知し、しかもそのDNA型鑑定の危険性を認識していた人物だけに、証言によっては足利事件の誤判原因の究明が大いに進むことが期待されました。しかし、福島証人は弁護団の尋問に対して明快に回答しようとはせず、弁護団の粘り強い尋問の末、足利事件の確定審で使われた科警研の旧DNA型鑑定に問題があることをようやく認めました。
福島証人は尋問のなかで、DNA型鑑定をするときには被害者のDNA型をあらかじめ排除することは鑑定の基本であると即座に答えておきながら、科警研がそれをやっていなかった事実について追及されると、質問とかけ離れたあいまいな証言をして、回答を避けようとしました。さらに、論文を発表するときには、旧鑑定のように様々な問題がある鑑定結果は使わないとしながら、刑事裁判というとりわけ正確な鑑定が必要とされる場合に旧鑑定が使われたことには何の問題意識も示しませんでした。
尋問の最後に、菅家さんが、「誤った鑑定によって有罪判決を受けたのだから謝ってほしい」と発言すると、福島証人は、「当時の技術には問題があったが、我々はミスを犯していない」と、謝罪を拒否しました。
公判終了後、弁護団報告を兼ねたクリスマスパーティー&忘年会が開催されました。支援者は、弁護団や菅家さんを迎え、福島証人の尋問に対する態度に新たな怒りを燃やしました。栃木県本部から菅家さんにクリスマス・プレゼントが手渡されると、菅家さんは大変喜び、その場にあったサンタクロースの帽子を被って、支援者の皆さんにお礼を述べ、場は大いに盛り上がりました。
救援新聞 2010年1月15日号